2024年1月19日から公開された今年一発目にして期待の実写化作品「ゴールデンカムイ」。
原作は週刊ヤングジャンプに連載され、2022年4月に完結した野田サトル先生の歴史アクション漫画です。
実はこの「ゴールデンカムイ」の実写化、キャストが決定した際に、軽い炎上騒ぎが起こりました。
しかし公開後、蓋を開けてみれば「満足度が高い」「脅威の再現度」「忖度なしで最高」など原作ファンからも絶賛の声が続出!
そこで!「ゴールデンカムイ」実写のキャスト炎上から公開後の絶賛について、”炎上の理由”と”実写化は失敗だったのか”に焦点を当てて、ネタバレありでレビューしていきます。
【ゴールデンカムイ実写】キャスト炎上の理由
結果的に原作ファンからも「大成功」の太鼓判を押された「ゴールデンカムイ」実写ですが、そもそも炎上した理由はなんだったのか、経緯を知らない方にも分かりやすく解説します!
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そもそも実写化が望まれていなかった
「ゴールデンカムイ」はそもそも実写化が望まれていなかった作品で、これが炎上の1番大きな理由になります。
2022年4月に大団円で最終回を迎えた漫画「ゴールデンカムイ」ですが、同時に発表された実写映画化の情報に私を含む原作ファンは混乱、そしてSNSでは実写化反対の声も多く上がりました。
しかしこれは、原作ファンが作品を愛するあまり炎上したと言っても過言ではないでしょう。
好きな原作漫画の実写化は、オタクであれば必ず直面する問題なのですが、なんにせよ日本映画で漫画原作の実写化が成功した事例が少なすぎる…。
また自分の好きな作品を理解や愛情がない人間に”おもちゃにされる”という懸念や、北海道の先住民族であるアイヌの歴史や文化を正しく伝えることができるのかという心配もありました。
なので、一時期「絶対にやめて欲しい」という意見が出たわけです。
しかし実写化発表の時点で映画制作はすでに始まっているわけで、金カムオタクたちは胸騒ぎの毎日を過ごすことになります。
主演が”また”山崎賢人
「ゴールデンカムイ」実写、2度目の炎上はキャスト発表時に起こります。
主人公の”不死身の杉元”こと杉元佐一(すぎもとさいち)を演じることになったのは、山崎賢人(やまざきけんと)さん。
山崎賢人さんといえば「キングダム」シリーズや「今際の国のアリス」「オタクに恋は難しい」「斉木楠雄のΨ難」など、漫画実写映画の主人公役の常連。
「ゴールデンカムイ」実写の主演俳優がまだ発表されていない時点でも、予想で山崎賢人さんの名前は上がっていましたが、ファンの意見は肯定的なものばかりではありませんでした。
やはり「またか」「他にいないのか」「身体は大丈夫なのか」などの意見が続出。
実際、最近の漫画実写映画の主人公って、山崎賢人さん、北村匠海さんが演じているイメージが多いです。
実際、杉元佐一役には山崎賢人さんがキャスティングされたわけですが、あとあと考えると他に杉元を演じられる俳優は山崎賢人さん以外にいないと思います。
キャストの筋肉量の問題
山崎賢人さん以外にも、「ゴールデンカムイ」実写のキャストは誰になるのかという話題でSNSは持ちきりでした。
「ゴールデンカムイ」といえば、登場する男性キャラクターはほとんどが筋肉隆々に描かれているうえに、アクションシーンも満載です。
山崎賢人さんに関していえば、「キングダム」の主人公・信(シン)の身軽なアクションが印象的ですが、対する杉元佐一は日露戦争の英雄とまで言われた武人。
漫画の序盤の見せどころとなる二百三高地での戦闘、また、銭湯で杉元が裸を披露するシーンがあるのですが、これを再現するならばかなりの説得力が必要です。
また「ゴールデンカムイ」原作漫画には、男たちの裸シーンが多く登場します。
特に、原作者の野田サトル先生が愛する谷垣源次郎(たにがきげんじろう)は誰がやるのか、悪役の鶴見中尉のキャストは誰なのかに注目が集まっていました。
しかし実写のさまざまな情報が解禁され、野田サトル先生の原作者コメントが発表されると、徐々に炎上から期待へ変わっていくのでした。
【ゴールデンカムイ実写】キャスト炎上で失敗だったのか?
原作者・野田サトル先生のコメントにより不安が期待に変わった「ゴールデンカムイ」実写は失敗だったのか、成功だったのか!?
結果、予想以上の完成度に驚かされることになりました。
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杉元佐一は山崎賢人しか考えられない!
山崎賢人さんの杉元佐一は斜に構えてしまうわけですが、鑑賞後は杉元佐一は山崎賢人さんしか考えられません。
序盤、二百三高地での戦い〜アシリパとの出会いまでは誰も近寄れない”鬼神オーラ”で、いい意味の違和感を感じます。
アシリパと行動するようになってからは、徐々に温かみのあるキャラへ変化。
ラスト、杉元・アシリパ・白石のいわゆる”ゴトリ”で桜鍋を食べるシーンで、原作ファンもよく知っている”あの杉元佐一”へ変化していく演技や見せ方に素直に感動しました。
心配されていた筋肉問題もなんのその。
前述した銭湯のシーンでは鍛え上げられた山崎賢人さん=杉元佐一の裸体が映し出され、説得力の塊に銭湯の常連のおじさんと共に「ありがたや」と念仏を唱えていました。
アシリパさんの変顔が完璧すぎる!
「ゴールデンカムイ」のもう1人の主人公と言っても過言ではない、アイヌの少女・アシリパを演じた山田杏奈(やまだあんな)さん。
若干23歳にして、これまでに「ミスミソウ」「樹海村」「山女」とアシリパを演じるには充分すぎるほどの作品に出演してきたキャリアの持ち主です。
アシリパは聡明で賢いアイヌの少女である反面、原作漫画では独特の変顔を披露する場面も多く、当初は橋本環奈さんが演じるのでは?と予想されていました。
しかし!山田杏奈さんの白い肌、ぷっくりしたほっぺたは見れば見るほどアシリパさんそのもの。
そして、しっかり原作を研究してくれたことがわかるアシリパの変顔に、思わずニンマリしてしまうこと間違いなし!
原作キャラが実在するかのようなリアルさ
杉元佐一&アシリパ以外のキャラクターも、まるで原作漫画からそのまま飛び出してきたようなリアルさ。
さらに、彼らがその時代に存在していてもおかしくないくらいの衣装・メイクのクオリティに驚きます。
「ゴールデンカムイ」原作は割と特殊な見た目をしたキャラクターが多いのですが、彼らが現実世界に自然に溶け込めていることが不思議です。
傷や特殊メイクも直接役者の肌に施すことで自然に見えるため、よくある失敗例のコスプレ感がありません。
特に肌の汚さにはより、リアルを感じました。
メイクや修正で肌をキレイに加工するのではなく、あえてきたなく汚すことで漫画と現実の境目をなくしている演出も新しく感じます。
また、メインキャストだけに汚れを施すのだけではなく、エキストラ1人1人の肌もちゃんと汚いことには、感動すら覚えて震えました。
原作への愛はもちろん、時代考証においてもかなり再現度・レベルの高い作品だと思います!
アイヌをルーツに持つキャストも出演
「ゴールデンカムイ」実写にはアイヌをルーツとする秋辺デボさんが、アシリパの大叔父役で出演。
秋辺デボさんは実写のアイヌ文化監修を担当しており、映画出演のきっかけになったようです。
映画の制作にあたりアイヌにルーツを持つ人が加わることで、よりリアルな文化考証・伝承が可能に。
実際に映画を見ると、セット、小道具、セリフの1つ1つにもかなり綿密な取材が施されていることがわかります。
アイヌについて知らない人は知るきっかけに、知っている人はより知識を深めるきっかけになるのではないでしょうか。
アイヌ語については字幕で解説が入るので、わからない人でも安心して鑑賞できますよ!
【ゴールデンカムイ実写】キャスト炎上→大絶賛の嵐の理由
実写化・キャスト炎上から一転、公開後は大絶賛の嵐となった「ゴールデンカムイ」実写。
ここからは、実際に映画を鑑賞して特に素晴らしかった、大絶賛の理由になったであろうポイントをご紹介します。
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原作漫画にかなり忠実な再現度
まず「ゴールデンカムイ」実写は、キャストだけでなくストーリーもかなり原作漫画に忠実なうえに、リスペクトを感じます。
「ゴールデンカムイ」原作漫画を集めている人は、冒頭の「カント オロワ ヤク サク ノ アランケプ シネプ カ イサム(天から役目なしに下された物はひとつもない)」からいきなり涙した人も多いはず。
このアイヌ語は原作漫画全巻の表紙カバーに書かれており、「ゴールデンカムイ」の重要なテーマになっています。
それから続く、荒涼とした二百三高地で杉元が蟻を食べるシーンも再現されていて「これは期待できる!」と思ったものです。
さらに忠実な再現度といえば、眞栄田郷敦さん演じる尾形百之(おがたひゃくのすけ)の登場シーンと、川から救出された際のミノムシ尾形も漫画そっくりだったのでぜひ見て欲しいです…。
原作を知らなくても分かりやすい構成
「ゴールデンカムイ」実写は、もちろん原作漫画やアニメを知らない人でも楽しめる構成になっています。
むしろ実写は原作とアニメの良いとこどりで、”まとめてあって見やすい”印象がありました。
プラス、アクションと大自然、ヒグマは盛り盛りになっています!
話題になっているからという理由だけで、映画館へ飛び込むのも全然アリ。
映画を見た後は本屋で原作漫画を買うか、家に帰って配信でアニメを見るかの2択しかありません。
この先もきっとあるので多くは語りませんが、不思議な魅力と中毒性から沼る人が多い作品です。
久保監督の徹底的なこだわり
「ゴールデンカムイ」実写を鑑賞して、自ら原作ファンを名乗る久保茂昭(くぼしげあき)監督や、製作陣の今作への徹底的なこだわりを感じました。
まずロケ地選びに関しては、北海道に生えていない木がある箇所はNG。
「知っていると知らないとでは違う」ということで、冒頭の二百三高地には第七師団のキャスト全員を出演させたということです。
原作者の野田サトル先生もかなりのオタクで有名すが、そんな野田先生が喜ぶほどの小道具の精巧さなど、かなり細かいところまで見ても隙がないくらいの出来栄え。
野田サトル先生も、久保監督だから安心して実写を任せられたのではないでしょうか。
漫画・アニメで表現できない部分を補完
「ゴールデンカムイ」には、実写だからこそ原作漫画やアニメを上回った部分もあります。
冒頭の二百三高地での戦いからは、生身の人間が演じるからこそわかる迫力や凄惨さが伝わります。
また見ているだけで凍りつくような北海道の雪景色、杉元とアシリパが向かい合うラストシーンのダイヤモンドダストは、漫画やアニメで表現できるものではありません。
厳しい撮影条件だったに違いありませんが、自然を味方につければ今後もかなり美しいシーンが生まれる可能性が高く、期待が高まります。
【ゴールデンカムイ実写】キャストも物語も完璧な近年稀に見る成功作!
実写化・キャスト発表時の炎上騒ぎが嘘だったかのように、蓋を開けてみれば大成功となった「ゴールデンカムイ」。
制作陣・キャストもかなりプレッシャーがあったはずですが、それを見事に乗り越えて観客の満足度も非常に高い作品になりました。
やはり実写化に必要なものは原作者との綿密なコミュニケーションと、制作陣とキャストの原作への愛だと思います!
その「愛」が、観客やオタクに伝わったからこその、大成功作品と言って良いでしょう!
原作ファンとしては野田先生、キャスト、スタッフ、そしてこの映画に関わってくれた方々になんて感謝を表したら良いかわからないくらいに幸せな気持ちです。
「ゴールデンカムイ」はアニメの最終章、そして実写の続編もほぼ決定しているので、気になった方は今からでもぜひ原作漫画やアニメを追ってみてはいかがでしょうか?
★「ゴールデンカムイ」実写版の記事はこちら