【秒速5センチメートル】気持ち悪い?呪いと言われる理由と結末はなぜああなった?明里の結婚相手は…

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新海誠監督の初期の代表作である、「秒速5センチメートル」の考察を紹介していきます。

作品を鑑賞した人から「気持ち悪い」という感想が出てくる理由なぜ「呪い」と言われるのか、結末についての解説などを考察しました。

「秒速5センチメートル」が好きな人も、自分には合わないと感じた人も、ぜひご覧ください!

この記事には映画ラスト結末のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

目次

【秒速5センチメートル】気持ち悪い話なの?

秒速5センチメートル U-NEXT
引用元:U-NEXT

秒速5センチメートル」は、「君の名は。」でブレイクする以前の新海誠監督によって制作されたアニメーション映画です。

甘酸っぱい青春期の心の揺らぎや美しい映像と音楽から、監督の初期の代表作と言われています。

男女の心のすれ違いを、3話のオムニバス形式で語った青春映画です。

ストーリーとしては真っ当な青春映画のため、意図的に気味が悪い描写があるわけではありません。

ただ、映画を観てどう感じるかはそれぞれなので、気になる方は本編の鑑賞をおすすめします!

「秒速5センチメートル」の詳しいあらすじについては、以下の記事にまとめてあるため、そちらをご覧ください。

「秒速5センチメートル」の詳しいあらすじはこちら

【秒速5センチメートル】気持ち悪いと言われる4つの理由

「秒速5センチメートル」が、なぜ気持ち悪いと言われているのか理由を考察しました。

ストーリーの核心に触れる要素になるため、本編の鑑賞後にご覧いただくことをおすすめします。

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①貴樹のストーカー化を美化

「秒速5センチメートル」は、主人公である貴樹が叶わなかった恋を、大人になるまで引きずっているという物語です。

小学生の頃の同級生である明里とは両想いの関係でしたが、結局二人とも想いを打ち明けることができずに、転校という形で離れ離れになりました。

貴樹の明里への想いは相当に重たいもので、社会人になって彼女ができてからも、心のどこかで引きずっている程です。

実際に、大人になってから付き合っている彼女からは、「一緒にいても全く心の距離が縮まらなかった」と言われてしまいます。

恋愛の未練への感覚は人それぞれですが、小学生の頃の恋愛を大人になってからも引きずっていると「気持ち悪い」と思う人がいるのも、さすがに仕方ないでしょう。

新海誠監督の個性でもある美しい映像と音楽により、ロマンチックなテイストに仕上げていることに嫌悪感を抱く人もいるそうです。

②貴樹がやつれていく姿が辛い

大人になってからの貴樹は必要以上に仕事に追われる生活になり、自分の目的を見失った人間として描写されていました。

彼女から別れを告げられて以降、ついに仕事を辞めてしまいどんどんやつれていきます。

路頭に迷い小学生の頃の通学路に思わず来てしまう状態は、気が病んでいると思われても仕方ありません。

やつれていく貴樹の姿を見て、日常の仕事を思い出してしまい気分が悪くなってしまう人もいるそうです。

また、貴樹があまり自分の内面を離さないキャラクターのため、何を考えているか分からず気味悪く思ってしまう人もいました。

③貴樹の彼女がかわいそう

秒速5センチメートル
(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

貴樹がいつまでも煮え切らない態度でいるため、別れを切り出した彼女に同情する意見も多くありました。

貴樹と彼女は、3年付き合ったにも関わらず、距離はいつまでも縮まらないままでした。

2人がベッドで寝ているシーンは恋人同士とは思えないほど離れていて、貴樹の心が目の前の彼女へ向いていないことは、明らかです。

過去の恋愛はどうあれ、今いっしょにいる人と向き合えていない様子を見ると、いい気持ちにならない人が多いのも仕方ないと思います。

④男女の感覚の違い?

「秒速5センチメートル」は、男女の登場人物が叶わなかった恋に対して、どう向き合うかという展開があります。

男女による恋愛の感覚の違いを描いている作品でもあるため、鑑賞した人によって意見が分かれやすい作風だと言えるでしょう。

過去の恋を清算して前に進む明里と、未練がある貴樹は本作で対照的に描かれています。

明里と同じように、多くの女性は過去の恋愛を引きずり目の前の恋人を蔑ろにする貴樹に対して共感する人は少ないでしょう。

ただ、貴樹は未練がある自分に自覚があるからこそ、過剰に仕事に打ち込んで明里の記憶をかき消そうとしていたのだと思います。

忘れようと思えば思うほど忘れられないのが男性の性で、だからこそ「秒速5センチメートル」は、男性からの支持が根強い作品になったのではないでしょうか。

【秒速5センチメートル】貴樹を縛る呪いとは?

貴樹が、過去の恋にがんじがらめになっている様子から、「呪い」と称する感想を目にします。

こちらでは、貴樹が何に呪われていたのか、ひとつひとつ考察していきます。

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岩舟駅でのキス

小学校のクラスメイトだった貴樹と明里でしたが、明里の親の事情で転校することになり離れ離れになってしまいます。

文通を続けて心の距離は保っていた2人に、貴樹の転校という試練が訪れました。

関東から遠く離れて鹿児島に行くため、会えなくなる可能性を悟った2人は栃木県の岩舟駅で待ち合わせて束の間の再会を喜びます。

思わずお互いの身体を抱き寄せた2人は、キスをして残り少ない時間を噛みしめるのでした。

しかし貴樹は、明里への想いを綴った手紙を道中で風に飛ばされてしまっていました。

岩船駅で想いを伝えることができていれば、貴樹にここまで強い呪いはかかっていなかったかもしれません。

夢に現れる顔の見えない少女

岩船駅での強烈な体験がありながらも、貴樹は鹿児島での生活をそれなりに謳歌していました。

クラスメイトの花苗とも親しくしており、好意を寄せられていたことにも気付いていたでしょう。

しかし、貴樹の夢の中には顔の見えない少女が現れるようになります。

夢に現れる少女は顔が見えないため、誰のことを暗示しているかは明らかではありません。

私は、忘れかけていた頃に訪れた明里の幻影のようなものだと解釈しました。

貴樹は、花苗が何気なく発した「時速5キロ」というフレーズにより、明里のことを思い出しました

一度忘れかけられていたからこそ、過去の体験がさらに美化されて、貴樹を苦しめていたのだと思います。

かつてあれほどまでに真剣で切実だった想い

貴樹は、明里のことを忘れられないでいることに苦しんでいますが、いつしか明里への想いが純粋ではなくなっていることに気付き始めます。

純粋に真剣に想っていた明里のことを忘れられずにいながら想いが実らないという意味で、限界に達しつつあることも悟ってしまうのでした。

明里のことを忘れるためなのか、女性を守る力をつけたいからなのか分かりませんが、貴樹は勉強や仕事に没頭して自分を見失ってしまいました

時間が経ち過ぎたからこそ貴樹の苦悩はますます複雑なものになり、自分で抜け出すことができない呪いのループに突入してしまいます。

最終的に貴樹がとった行動は、小学生の通学路を訪ねるというとても痛々しいものでした。

【秒速5センチメートル】結末はなぜああなった?ハッピーエンドなのか

秒速5センチメートル
(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

貴樹は、踏切の近くで女性とすれ違い、何かを察して振り返ります。

しかし、電車が通過すると女性の姿は消えてしまっていました

貴樹が少し笑みを浮かべて歩き出すというシーンで、「秒速5センチメートル」は結末を迎えています。

鑑賞した人によってバッドエンドともハッピーエンドとも言える曖昧さが、ファンからの支持を強めている要因と言えそうです。

すれ違った女性が明里だったかはわかりませんが、振り向いて先に誰もいなかったことと、貴樹が前を向いて歩き始めたことが重要だと思います。

真相はどうあれ、もう明里はいないときちんと認識できたことは貴樹にとって大きな前進だと言えるでしょう。

少し笑っていることから気持ちが軽くなったように見えるので、今後の貴樹は自分の人生を改めて進んでいけると思います。

【秒速5センチメートル】明里の結婚相手は誰?

明里の結婚相手が誰なのかは具体的には分かっていません

明里の左指には指輪があることから、結婚していることは間違いないと思います。

パッと見た印象では真っ当に働いている同世代くらいの社会人という感じで、明里の親からも好意的に見られていそうです。

結婚相手の描写は少ないですが、自分を見失っている貴樹とは対照的な人物ということは明らかでしょう。

【秒速5センチメートル】人生経験の変化によって捉え方が変わる味わい深い作品

  • 「秒速5センチメートル」は明確に気持ち悪い作品ではない
  • 貴樹の明里への未練が気持ち悪いと言われがち
  • 人生や恋愛経験によって感じ方が異なるタイプの作品

「秒速5センチメートル」の結末の解説や、なぜ気持ち悪いと言われるかについて、考察してきました。

少し煮え切られないように見える結末は賛否分かれる要素なため、合わないと感じた方は、「君の名は。」を鑑賞すると、楽しめると思います。

また、「秒速5センチメートル」は、松村北斗さんの主演による実写化も決定しているため、今のうちから配信で予習してみるのもいいかもしれません。

貴樹の呪いや、鑑賞した人それぞれの過去の呪いを語り合うことで、何かが浄化されることでしょう。

★新海誠監督の作品はこちら

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この記事を書いた人

濱口竜介監督と対談することが夢です。映画やアニメを見始めて間もない頃に「寝ても覚めても」を映画館で観て人生が変わりました。それは、今まで鑑賞したどの映画とも似つかわしくない衝撃的な映画体験でした。以後、濱口監督の作品とご自身による作品の分析に毎度感心させられ、映画の得体の知れない深さに驚きます。濱口監督には遥か及びませんが、自分も映画やアニメの魅力を伝えられる存在になりたいです!

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