1989年に公開されて以降、戦争映画の名作として語り継がれている「火垂るの墓」の、あらすじを紹介します。
日本ではサブスク配信されておらずDVDのみで視聴できますが、ジブリ作品が海外のNetflixで配信されるようになり、再び「火垂るの墓」に注目が集まっているそうです。
ネタバレを含んだ結末と細部の解説や、作品の成り立ちについても取り上げているので、ぜひご覧ください。
【火垂るの墓】あらすじを簡単に紹介:どんな話?
「火垂るの墓」は、野坂昭如さんの短編小説を原作に、スタジオジブリにて高畑勲監督によって、アニメ映画化された作品です。
第二次世界大戦の最中を舞台に、14歳の兄である清太と4歳の妹である節子の日常が、リアリティあるタッチで描かれています。
ささやかでありながら、残酷な人生を辿っていく2人の人生に胸を打たれる観客が続出しました。
宮崎駿監督の「となりのトトロ」と同時上映され、トトロから「火垂るの墓」という順番で、上映する映画館が多く、余りのテイストの違いに、観客に困惑を与えたことも、語り草になっています。
原作の「アメリカひじき・火垂るの墓」はこちらから無料の試し読みも可能です。
【火垂るの墓】あらすじを簡単/簡潔わかりやすく紹介
「火垂るの墓」のあらすじを、起承転結に分けて紹介します。
清太と節子の儚い人生を、改めて整理する意味でもぜひご覧ください。
※↑リンクをクリックで知りたい項目へ飛べます。
起:清太の死
主人公の清太という少年は、三宮駅構内の柱にもたれかかっていますが、生きているか死んでいるか判別がつきません。
駅員によって立ち上がるように促されますが、ほとんど動かないため、駅の外へ連れ出されてしまいます。
駅員が清太のポケットに入っていたドロップ缶を捨てると、何かを弔うように蛍が飛び交います。
しばらくして、清太という1人の少年が命を落とし、幽霊が現れて走馬灯のように、自分が亡くなるまでの数か月を想起するのでした。
承:親戚との諍い
第二次世界大戦の兵庫に住んでいた清太と妹の節子は、空襲の影響で母と家を失っています。
2人は、生前の母の言葉を頼りに、西宮の親戚と一緒に暮らすようになりました。
しかし、当初は穏便に過ごしていたものの、親戚との折り合いがどんどん悪くなっていきます。
戦争により家庭には緊張感が漂い、叔母は清太と節子にきつく当たり関係は悪化するばかりです。
そして、親戚の家の居心地が悪くなった二人は、家を出る決心をするのでした。
転:困窮に至る生活
家を出た二人は、叔母の小言から解放され伸び伸びとした生活を取り戻します。
2人は防空壕の中に過ごし自作の遊具を楽しんでおり、配給を頼りにしていたため食にも困りませんでした。
しかし、配給が途絶えるようになり2人の生活は困窮していきます。
栄養失調により体調が悪化していく節子を見て、清太は畑に食糧を盗むようになりますが、すぐに見つかり顔が腫れ上がるほどに殴られてしまいます。
防空壕に戻った清太は、節子を見てふと我に返り、溢れる涙を止めらませんでした。
結末:辛すぎる最期
体調がどんどん悪化していた節子は、終戦から7日後に亡くなってしまいます。
生きる希望を失った清太は、あてもなく放浪し三宮駅に辿り着きました。
戦争孤児として三宮駅にて亡くなった清太は、幽霊になった節子と再会します。
すると、戦後すぐの神戸から、現代の神戸に背景が変わりました。
丘の上から清太と節子は、現代の日本の風景をじっと眺めます。
こうして14歳の少年と、4歳の少女は、戦争により尊い命を落としたのでした。
【火垂るの墓】結末・ラストの解説:最後に清太はどうなった?
西宮の親戚の家に馴染めなかった清太と節子は自分たちだけで生活をしようとしますが、食糧難に陥り畑に盗みに入っては大人に激しく叱られるという生活を送っていました。
やがて節子を終戦から7日後に栄養失調で亡くして、清太は生きる希望を失います。
防空壕から出た清太は、あてもなく放浪し三宮駅で最期を迎えるのでした。
駅員に清太のポケットに入っていたドロップ缶を捨てられると、幽霊になった節子と清太は再会します。
節子は三宮駅で力尽きている清太のもとへ駆け寄ろうとしますが、幽霊になった清太に止められました。
そして背景に突然現代のビルが映されて、丘の上からじっとビルを眺めるところが、「火垂るの墓」のラストシーンです。
終戦から復興しても、戦争の影響下にある日本を映した印象的なラストシーンで、戦争を風化させてはならないと静かなメッセージを感じます。
【火垂るの墓】清太はどこで死んだ?
「火垂るの墓」の冒頭で、「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」という清太のナレーションから始まる通り、物語が始まるとともに、清太は亡くなります。
神戸の三宮駅にて、清太は栄養失調により餓死してしまいました。
清太は駅の柱にもたれかかっており、死を察した駅員によって死体が運ばれていきます。
駅の外に死体が運ばれていきますが他にも多くの死体が積みあがっており、戦争が終わった直後でも食糧難により多くの命が失われていたことが伝わります。
「火垂るの墓」は1人の少年の死から始まり、走馬灯のように辛く短い人生を振り返っていくという形式が、観客に大きな衝撃を与えました。
幽霊になった清太が自分の最期を見つめており、とても切なく印象に残ります。
【火垂るの墓】は実話?モデルになった人物はいるのか
「火垂るの墓」は、原作者の野坂昭如の実体験をベースとしたフィクションとなっています。
実際に、野坂昭如も第二次世界大戦中は神戸近郊で暮らしていました。
妹2人と義父を戦時下に栄養失調で亡くしており、贖罪の意を込めて筆をとったそうです。
「火垂るの墓」では、主に野坂さん本人と下の妹の恵子さんとの実体験が色濃く反映されています。
主人公による関西弁を主体とした口語体でありながら、卒なく無駄のない文章力が評価されて、直木賞を受賞しました。
【火垂るの墓】なぜ放送禁止になった?
「火垂るの墓」のテレビ放送が長らくされていないことから、放送禁止になったという噂が一部で流れましたが、噂自体に全く根拠はありません。
特に2000年代後半ごろから、「火垂るの墓」の視聴率が年々低下していることから、放送のタイミングを単純に逃しているといったところでしょうか。
「火垂るの墓」が放送禁止になったという噂について考察をした記事があるので、気になる方は併せてご覧ください。
【火垂るの墓】あらすじで気になった人はぜひ本編視聴を
- 「火垂るの墓」は、原作者の実体験をもとにしたフィクション
- 「火垂るの墓」は、「となりのトトロ」と同時上映され、今もなお語り継がれている
- 主人公・清太の死から、物語の本編が始まる
こちらの記事では「火垂るの墓」のあらすじと結末、作品の成り立ちについて解説しました。
あらすじと題材を見て気になった方は、ぜひ本編の鑑賞をおすすめします。
現在は、ジブリ作品はDVDレンタルでしか鑑賞はできません。
しかし、見逃しておくには惜しすぎる名作なので、少しでも気になった方は、DVDレンタルサービスを利用して、「火垂るの墓」を鑑賞し、2人の人生に想いを馳せてみるのもいいでしょう。