「ゴジラ-1.0」は、日本映画史上初めてアカデミー賞の視覚効果賞を受賞し、世界中で高く評価されている作品です。
1954年に公開された初代「ゴジラ」を踏襲したような設定も、往年のゴジラファンを喜ばせました。
一方で、戦後を舞台にしていることもあり、細かい描写が議論を呼んでいます。
この記事では、「ゴジラ-1.0」の主に終盤の展開の考察や、続編の可能性についてまとめています。
「ゴジラ-1.0」への理解を深めたい方は、ぜひご覧ください!
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【ゴジラ-1.0】考察にあたっての最後・結末の解説
様々な考察をするにあたって、まずは「ゴジラ-1.0」の結末に至るまでの展開を解説しています。
考察のキーワードが細部に散りばめられているため、展開を整理して考察を深めていきましょう!
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海神作戦(わだつみさくせん)の決行
ゴジラは、東京に再襲来することが予想されていましたが、太平洋戦争後の日本海陸軍は解体されていました。
公的機関のままならない状況に立ち上がったのは、元帝国軍将兵や「東洋バルーン」などの民間企業です。
そして、ゴジラを相模トラフに誘導し、2隻の駆逐艦からガスを放出して浮力を弱め、強烈な水圧により圧壊させるという「海神作戦(わだつみさくせん)」を決行します。
作戦決行の当日、海神隊第一部隊の駆逐艦である「夕風」と「欅」が、ゴジラに向けて突撃を始めますが、ゴジラの放射熱線により駆逐艦は破壊されてしまいました。
すぐに放射熱線の再発射ができないゴジラに対し、残りの駆逐艦である「雪風」と「響」で「降雷装置」を貼り付けたケーブルをゴジラに巻き付けようと試みます。
難易度の高い作戦ですが、元海軍将兵の高い技術により、ゴジラの身体に巻き付けることに成功します。
放射熱戦が再発射される前に「降雷装置」の起爆剤を作動し、ゴジラを海中に沈めますが、致命傷には至りません。
敷島が震電で特攻!ゴジラが海に沈む
続いて、ゴジラが圧壊しなかった場合に備えていた膨張式浮上装置を発動し大きなダメージを負わせますが、ゴジラは生存したままです。
あと一歩のところで、致命傷を負わせられないなか、数十隻のタグボートを率いた水島(山田裕貴)らが到着します。
放射熱線を再発射しようとするゴジラに対し、主人公の敷島は戦闘機の「震電」で特攻してゴジラの脳を破壊します。
命を落としたと思われた敷島でしたが、衝突前に脱出装置によって「震電」から逃れ、無事に生還しました。
そして、敷島の特攻によって海に沈んでいくゴジラに向かい、隊員たちは鎮魂の意を表して敬礼するのでした。
典子が生きていたことが判明!敷島と無事再会するが…
無事帰還した敷島は、隣人の澄子(安藤サクラ)から手紙を渡され、典子(浜辺美波)が入院していた病院へ向かいます。
典子は敷島をかばい、ゴジラから放射熱線を浴びて重傷を負って行方不明になっていました。
病院に到着した敷島は、意識を取り戻した典子と再会し、思わず涙が溢れてしまいます。
敷島は、自身が抱えていた戦争のトラウマから解放されたかのように、典子と抱き合います。
しかし、典子の首元に不穏な黒いアザが浮かび上がっていることを、敷島は気付いていません。
一方で、海底に沈んだゴジラの身体が膨張し、復活の予感を抱かせるのでした…。
【ゴジラ-1.0】考察①:最後の典子の首のアザの意味は…
典子の首のアザは、ファンの間で議論が飛び交っていた最大の考察ポイントです。
監督から飛び出たまさかの回答も、こちらで紹介しています。
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①G細胞に感染した可能性
典子の黒いアザについては、ファンの間でも考察が飛び交っていました。
最も多かったものは、ゴジラが東京を襲来した時に放った放射熱線を浴びたことで、典子がG細胞に感染したのではないかという考察です。
G細胞は、短時間で傷を回復し、放射能をエネルギーとして取り込む力を備えています。
ゴジラの細胞を意味するG細胞に感染したから生き延びたのではないか、というのが大方の見方でした。
あの爆発で生き延びるのは、あり得ないですからね…。
4月28日に開催された「ゴジラ・フェス大阪」にて上映された山崎貴監督へのインタビューで、この考察が間違いないことが明らかにされました。
典子の生死は脚本の段階でかなり迷ったそうですが、最終的には生き延びる方向で進めることになりました。
脚本が完成した時点では、G細胞に感染したアイディアはなかったようです。
しかし、撮影の際に山崎監督のひらめきで、浜辺美波さんの首元に目印を書いたそうです。
後ほど首元の目印に、CGで加工した黒いアザが付け足されました。
インタビュアーの笠井アナから、黒いアザの正体の質問に対して「G細胞です!」と即答していることから、この考察が間違いではなかったことが明らかになりました。
典子が生き残った理由付けとしてG細胞の設定が加わったんですね!
②ゴジラの熱線を浴びた後遺症
次に多かった考察は、ゴジラから放射熱線を浴びた後遺症によってアザができたのではないか、というものです。
G細胞は「ゴジラvsビオランテ」など過去作に出てきたモチーフでもあるので、ゴジラファンにはお馴染みですが、初めてゴジラシリーズを観る観客は、放射熱線の影響と考えるのが普通だと思います。
ゴジラが放射熱線を放った影響でG細胞に感染しているので、後遺症と見るのも間違いではありません。
今回は、過去のゴジラオマージュも多いです!
ただ、典子はかなりの勢いで吹き飛ばされたにも関わらず、包帯を巻いているところ以外は綺麗な状態でした。
典子は、孤児の明子を引き取ったり、ゴジラに乗車中の電車を破壊されても生き残ったりとタフな一面も多いので、この考察の説得力が増してしまうところはあるかもしれません。
③典子が死亡しなかった理由
山崎監督は「ゴジラ・フェス大阪」のインタビューでも話していた通り、典子の生死についてはかなり迷っていたそうです。
監督の本心としては、敷島と典子は最後に再会させてあげたかったと語っています。
しかし、生き延びたというポジティブなイメージが前面に出るハッピーエンドだと、ゴジラが象徴している「核」のモチーフにそぐわないと判断したそうです。
いかにもなハッピーエンドを避けるために、G細胞に感染したという要素が足されました。
今後2人を待ち受けるものは、幸せだけではないのでしょうね…。
ハッピーエンドでもなく、バッドエンドでもない、いわゆるビターエンドという少し居心地の悪い着地で、「ゴジラ-1.0」は締めくくられました。
作品によって細かい設定は異なりますが、G細胞にはゴジラのような生物へ化かせる効力があるといいます。
浜辺美波さんがゴジラのような姿になることは、想像がつきにくいですが…。
G細胞に感染した典子と共に生きていく敷島には、今後もさらなる困難が待ち受けるのかもしれません。
【ゴジラ-1.0】考察②:ゴジラへの敬礼の意味
戦後を描いた作品のため、最も物議を醸したのが敬礼の意味です。
そもそも、誰に対しての敬礼だったのか、敬礼には何が込められていたのか整理した上で、考察しています。
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①敷島に対しての敬礼ではない
ゴジラを倒した後、作戦に参加した者が順々に敬礼していく姿に違和感を抱いた観客は多くいました。
敬礼している兵士たちの目線が上を向いていたため、敷島とゴジラのどちらに対しての敬礼なのか、解釈が分かれていたポイントです。
敷島かゴジラかで、意味合いはかなり変わってきそう…。
しかし、公開後に発売されたノベライズ版では、ゴジラに対しての敬礼だということが明らかになりました。
ここで敷島に敬礼していたとなると、戦争を肯定していると捉えられかねないので、対象を明確にしたのは良かったと思います。
②ゴジラもまた戦争・核実験の被害者である
1954年版から、ゴジラは核実験によって生まれたという設定があります。
今作では、ビキニ環礁にて行われたクロスロード作戦での放射能の影響で誕生しました。
人間の愚かさによって生まれた生物でありながら、人間に恐れられ、攻撃されるというのは、とても不条理なことだと言えるかもしれません。
「ゴジラ-1.0」に限らず、ゴジラもまた人間によって生み出された被害者であるという視点を持って、従来のゴジラシリーズは制作されてきました。
人間の愚かな行いを省みることと、ゴジラへの鎮魂の意を込めて、海軍将兵たちは敬礼をしたと考えられます。
山崎貴監督も、Blu-rayに収録されているオーディオコメンタリーで「ゴジラを倒すことは、神を鎮めたことと同じような意味。敬礼は、健闘した相手に敬意を示すということ」といった趣旨の発言をしています。
ただ、ゴジラを神格化しているのは作り手目線の発言で、ゴジラによって罪なき人々が亡くなっている事実もあるので、ここで敬礼することに対しては、個人的には疑問をぬぐいきれませんでした。
全人類が核実験や戦争に直接関わっているわけではないですからね…。
ただ、命あるゴジラを鎮めるというのもまた人間の都合であることは事実です。
ゴジラの命を奪ったことへの謝罪のような念や、命を決して無駄にはしないという意思が、敬礼には込められているのかもしれません。
③自分たちの戦争が終わったという”ケジメ”の意味での敬礼
「ゴジラ-1.0」は、ゴジラとの戦いがメインの物語になりますが、太平洋戦争の終戦に対して踏ん切りがつかなった男たちの物語でもあります。
冒頭で、敷島は命を落とすことを恐れ、特攻を逃れたことで、戦争から帰還しても非難を浴びました。
また、戦争に憧れる素振りを見せる水島のような乗組員の存在も描かれています。
国家機関のふがいない状況から民間人が立ち上がるという展開が、今作の見どころで他のゴジラシリーズにない要素です。
「永遠の0」や「アルキメデスの大戦」を撮った山崎監督らしいモチーフですね。
海神作戦がすべてうまくいったわけではありませんが、敷島ら一同は、結果としてゴジラを倒すことに成功しました。
特に敷島が、戦争に対するやり切れない思いを抱えているように描かれていましたが、作戦に参加した者たちも同じような気持ちを抱えていたのかもしれません。
振り返ると、「東洋バルーン」や海軍将兵は、自分たちの尊厳を回復するために、ゴジラを倒そうとしているようにも見えてきます。
戦争によって精神的に傷を負っていた男たちが、ゴジラを倒したことにより、ようやくケジメをつけられたという意味で、敬礼という行為に至ったのかもしれません。
【ゴジラ-1.0】考察③:最後のシーンが示唆するものは…
ゴジラが身体が微かに動くという、不穏なラストシーンについてまとめています。
ラストが意味するもの、続編の可能性の有無、続編があるとしたらどのような続編になるかについて考察しています。
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①ゴジラが復活する可能性
ラストでは、海底に沈んでいたゴジラの身体が膨張するようなシーンが描かれています。
「シン・ゴジラ」のラストでも、微かに尻尾が動いていた通り、ゴジラシリーズは、ラストにゴジラの復活を予兆することがあります。
典子が生還したことが単純なハッピーエンドではない、という監督の発言がありましたが、ゴジラを倒したこともハッピーエンドというわけではなさそうです。
ゴジラそのものがG細胞をまとっているということは、驚異的な治癒力を発揮して復活する可能性も大いにあると思います。
ゴジラが動いているシーンは、背筋がゾッとしました…。
②ゴジラ第1作目につながる可能性
「ゴジラ-1.0」は、初代「ゴジラ」の時代設定である1954年より前の、1945年~1947年を舞台にしています。
初代「ゴジラ」へのリスペクトは「-1.0」というタイトルにも表れており、初代「ゴジラ」を踏襲したような設定が随所に盛り込まれています。
昨今のアメコミ映画などで見られるマルチバースブームから、初代「ゴジラ」の世界線と「ゴジラ-1.0」の世界線が合流することを期待するファンもいるそうです。
70年前の映画なので、合流するとしたら実質リメイクになるのでしょうか?
ただ、両作は直接関連がある物語ではないので、時系列的に繋がる可能性があるということに過ぎません。
製作陣が初代「ゴジラ」とのマルチバース化について言及しているわけではないので、淡い願望くらいに留めておくのが賢明だと思います。
1954年を舞台にして、初代のオマージュをすることはあるかもしれません!
③続編がある可能性
アカデミー賞視覚効果賞の受賞による、批評的な成功や世界中を巻き込んで大ヒットしたことを見ても、続編の可能性は大いにあると思います。
ゴジラの復活を仄めかしていることに加えて、典子がG細胞に感染していることを山崎監督が明言したのも、続編へのGOサインが出ていることの表れかもしれません。
個人的には、「ゴジラ-1.0」の続編を手掛けるとしたら、VFXの手腕を買われて山崎監督が続投すると思います。
日本のVFXの技術が世界にも通用することが証明されたので、続編はさらに予算が調達され、もっと凄い映像が観られるかもしれません。
2024年のアカデミー賞では、「オッペンハイマー」が作品賞を受賞したことについて、山崎監督がコメントを求められた際に、「日本から「オッペンハイマー」に対するアンサー的な作品が必要だと思う」という発言をしました。
もし、山崎監督が続編を務めるのなら、上記の発言通りの作品になるのではないでしょうか。
核兵器についてのアンサー的な映画となると、「ゴジラ-1.0」以上に重たい題材になりそうです。
個人的には映像がグレードアップして、更に深みのある続編を観てみたいなと思います。
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【ゴジラ-1.0】考察!最後の典子の首のあざ・敬礼についてまとめ
戦後の日本を舞台にしたことで、「ゴジラ-1.0」は様々な論争を巻き起こしました。
作品への肯定的な意見も否定的な意見も見られましたが、議論を巻き起こす時点で、影響力はかなり強い作品だったと言えるでしょう。
敬礼の意味など、受け取り方は観客にとって様々ですが、山崎監督は解釈が分かれるように敢えて脚本を書いていったのかもしれません。
しかし、ゴジラの大迫力については、声を揃えて大絶賛されています。
「ゴジラ-1.0」は一部の劇場で公開中で、5月4日からAmazon Prime Videoでも配信が開始されました。
ゴジラの迫力を目の当たりにするために、鑑賞してみることをおすすめします!
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