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【あらすじ紹介】映画「夜明けのすべて」はどんな話? 松村北斗と上白石萌音のW主演! 2人のキスシーンはある?

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yoake
(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

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本記事では、映画「夜明けのすべて」のあらすじとネタバレを含んだ終盤の展開を紹介した上で、本作が描くテーマについて考察しています。

だいち

演出手腕が評価されている三宅唱監督の最新作であること、
「カムカムエブリバディ」以来の共演となるキャスティング
ということで、あらゆる層から注目を集める作品です!

この記事では、作品内の細かいディテールにも触れておりますので、未鑑賞の方はご注意ください!

目次

映画「夜明けのすべて」作品情報

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
公開日2024年2月9日
監督三宅唱
原作瀬尾まいこ
脚本和田清、三宅唱
キャスト松村北斗(山添孝俊)
上白石萌音(藤沢美紗)
渋川清彦(辻本憲彦)
芋生悠(大島千尋)
藤間爽子(岩田真奈美)
りょう(藤沢倫子)
光石研(栗田和夫)
音楽Hi’spec
上映時間1時間59分
配給バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
上映劇場『夜明けのすべて』劇場情報
年齢制限なし
映画「夜明けのすべて」作品情報

映画「夜明けのすべて」あらすじ

yoake
(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

月経前に情緒が不安定になり、感情のコントロールが難しくなるPMS症状に悩んでいる藤沢さんパニック障害を抱える山添くんが栗田科学という職場を通じて出会いました。

当初は、お互いの症状を理解できずにいた2人ですが、時折支え合い、コミュニケーションを交わすことによって恋愛でもなく、友情でもない温かな関係が築かれていきます。

だいち

栗田科学の社員たちの優しさに泣き笑いすること間違いなし!

映画「夜明けのすべて」ネタバレ

人気アイドルグループSixTONESのメンバーである松村北斗さん、国民的大ヒット映画「君の名は。」でヒロイン声優を担った上白石萌音さんのW主演ということで話題沸騰中の映画「夜明けのすべて」ですが、全国200館という中規模公開ながら大ヒットを記録しています。

だいち

ここからは下記3点についてネタバレを含んだ内容を紹介します!
未鑑賞の方はお気をつけください!

※↑リンクをクリックで知りたい項目へ飛べます。

山添孝俊はパニック障害に悩んでいる

以前は大手のコンサルティング会社で働いていた山添孝俊は、ある日突然パニック障害を発症して従来どおりの働き方ができなくなり、栗田科学への転職を余儀なくされました。

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

電車やバスへの乗車、外食もできないほどの症状は、本人も予測がつかないタイミングで発作が起きてしまいます。

だいち

劇中では、山添がパニック障害を発症して2年と言われています

仕事が好きで充実した社会人生活を送っていた山添は、栗田科学の緩やかな社風に馴染めないでいました。

前職の上司であった辻本に、職場へ戻れないか打診するほどです。

しかし、主治医からは人によってはパニック障害が完治するには10年かかることもあると聞いて、狼狽えます。

「このままではダメだ」と感じた山添は、暴露療法をもとに電車へ乗ろうと試みますが、気分が悪くなりその場にうずくまってしまいます。

暴露療法とは 

くすりの服用によって、パニック発作が起こらないことを患者さんが認識できたら、それまで避けていた状況や場所に徐々に挑戦してもらう治療法

暴露療法とは 一般社団法人日本うつ病センター公式サイトより

薬を服用しながらも仕事を続けることが困難に感じるほど発作が激しい日もあり、過呼吸の症状にも悩まされています。

山添が服用している薬をたまたま発見した藤沢が、発作が起きている山添を助けたことにより、2人はお互いの病状を認識するようになりました。

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

山添は他にパニック障害であることを告白している人はいなかったため、藤沢が山添を介抱した出来事をきっかけに、同士のような存在を手に入れることになりますが、しばらく心を開くことはありませんでした。

しかし、藤沢のPMSの症状を目の当たりにしたり、書籍などで知識を蓄えたりすることで2人の関係は適度な距離感で育まれていくようになります。

だいち

軽口を叩きあう2人の距離感が絶妙です!

藤沢美紗はPMS(月経前症候群)が深刻

映画の冒頭は、PMSの症状で苦しむ藤沢から始まります。

ナレーションにより、藤沢は月に一度イライラが抑えられなくなり感情を爆発させてしまうと語ります。

だいち

新卒入社して2ヶ月の会社で上司に向かって激怒したこともあり、周囲から白い目で見られてしまいます…

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

「これ以上失敗はできない」と悟った藤沢は、強度の薬に頼るようになります。

しかし、薬の副作用は予想以上に強烈で職場で堂々と居眠りをしてしまう失態を犯し、即座に退職が決定しました。

劇中では退職から5年が経過し、栗田科学で働く現在の藤沢の生活が描かれていきます。

それでも、藤沢のPMSの症状は変わらず発症してしまいます。

勤務態度が悪い山添が目について、思わず怒鳴りつけてしまい、周囲からなだめられます。

だいち

ここでの栗田科学のほかの社員の対応が温かいんですよね

PMSを発症していないときの藤沢は穏やかな性格であり、感情のコントロールがきかずに迷惑をかけた翌日には、申し訳なさから、差し入れを会社へ持っていきます。

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

山添と同じく、藤沢の症状も本人の予測がつかないタイミングで発症しますが、タイミングを察した山添の計らいにより、大勢の前で感情を爆発させずに済んだことがありました。

発症のタイミングで手を貸したことにより、2人はお互いの病状を少しずつですが理解していきます。

ただ、お互いのことを少しだけ理解することで、数回に1回助けられるような関係を温かく築いていくのでした。

だいち

藤沢さんが早退した日に、山添くんが忘れ物を届けにいくシーンが最高です!

恋愛要素はある?

従来の邦画では、著名な俳優同士が共演する場合、恋愛関係に発展させてストーリーを盛り上げる傾向があります。

本作「夜明けのすべて」では、ラブストーリーではなく、2人の日常を丁寧に描いています。

結論からいくと、山添と藤沢は全く恋愛関係には発展していきません。

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

最終的に、山添は前職に復帰せず栗田科学で働き続け、対して藤沢は、母親の介護をするため地元の企業へ転職します。

それぞれが決断を伝えたときの反応は、特別名残惜しさを感じさせるものではなく、今後の2人の人生においては、良い意味でお互いを必要としない関係性になっていくのだなと感じました。

映画「夜明けのすべて」はキスシーンがない

前述の通り、上白石萌音さんが演じる藤沢と松村北斗さんが演じる山添は、恋愛のような関係性に発展しません。

キスシーンどころか、身体が触れ合うようなシーンもありませんでした。

観客が2人の関係性を見て誤解する余地がないほど、一歩引いた距離感で接していくのです。

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

本作では、無理やり恋愛要素を入れ込むことはなく、リアルな同僚としての関係が描かれていきます。

だいち

この関係を表現した松村北斗さんと上白石萌音さんの演技がすごいです!

山添の家に2人きりでいることもありますが、自然に恋愛でも友情でもない2人の関係性を成り立たせていました。

本作では、PMSとパニック障害に苦しむ男女がどのようにして、助け合うまでに至るかを描いています。

本作では2人の苦悩を真摯に描き、少しずつ関係性が発展していく過程を描いているため、そもそも恋愛に発展する余地がなかったと言えるかもしれません。

だいち

嘘のない距離感と関係性が素敵でした!

「夜明けのすべて」のタイトルの意味

栗田社長の弟が残したメモに、「人間はどうやら夜明けに希望を感じる生き物らしい」という言葉があります。

ここから推測するに本作では、「夜明け」を希望というポジティブな意味合いで捉えていると言えるでしょう。

そして、「夜明け前がいちばん暗い」という言葉も綴られていました。

藤沢と山添にとって、PMSとパニック障害に苦しんでいるときは、夜明け前のような暗く辛い気持ちになるのだと思います。

(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

しかし、2人は栗田科学という居場所を見つけられました。

2人にとって居場所があることは、小さな希望のひとつです。

本作では、2人以外にも親族を亡くして辛い気持ちを抱えている人物が登場します。

誰もが苦しみをすぐに受け入れられるわけではない旨を「夜明けのすべて」の劇中で、繊細に描かれていました。

だいち

苦しみを抱えている人は数多く存在しているけれど、すべての人に夜明けは訪れるという想いがこの「夜明けのすべて」というタイトルから感じられるのではないでしょうか。

映画「夜明けのすべて」において印象に残った言葉やセリフ

ここでは、私が「夜明けのすべて」を鑑賞して印象に残ったセリフを紹介します。

山添「人は見た目によらないというか、第一印象は当てにならないと感じています。」

栗田科学のドキュメンタリーを撮影する中学生からインタビューを受けて、山添から発せられたセリフです。

だいち

まさしく、「夜明けのすべて」を象徴するようなセリフでしょう

症状を知られる前、山添と藤沢は互いに悪い印象を抱いていましたが、相互理解によって少しずつ関係性に良い変化が現れます。

栗田科学で過ごした時間を経て、この言葉に至ったことが山添の変化だと感じて、印象に残りました。

山添「PMSとパニック障害って全然違いますよね?」

藤沢が山添の病状をなんとなく察して、「お互い頑張ろう」と伝えたあとに発せられたセリフです。

心を開いていない山添の冷たく素っ気ない雰囲気が伝わってきますが、異なる病気をひとまとめにして簡単に共感させないという作り手の強い意思を感じるセリフで個人的に刺さるものがありました。

主演は松村北斗さんと上白石萌音さんのW主演

【インタビュー】松村北斗×上白石萌音が体現した、救いあう関係 横並びのどこまでも魅力的な“おしゃべり”

松村北斗さんと上白石萌音さんは、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦を演じた以来の共演ということで、注目を浴びています。

2人の作品に対する想いを紹介します。

松村「劇中には、『ぎりぎり難しい』箇所がたくさんありました。というのも、山添くんの家にふたりでいる時間がけっこう長かったんですが、大きな家でもないですし、人間の体同士が近くなるじゃないですか。やはりこの年代の男女がふたりきりでいると、当人たちの居心地とは別に、見る人はどうしても男女の匂いを感じてしまう。1回冷静にならないと、その見極めができない気がして。特に三宅監督は、常に少し離れたところから見ていらっしゃるわけですが、たまには一緒になって、3人でふたりの関係を見てみないと、(距離感を演じるのが)難しい瞬間がありました。きっとふたりの人生のなかでは、その(男女の)距離もあったんだろうけれど、今回はそこじゃなくて違うところを切り取っているので」

【インタビュー】松村北斗×上白石萌音が体現した、救いあう関係 横並びのどこまでも魅力的な“おしゃべり

松村北斗さんのコメントから、絶妙な男女の距離感という役柄の難易度と三宅監督への信頼が伺えます。

上白石「ひょうひょうと切り抜けられた部分も、やっぱりどうにもいかなかった部分も、両側面があったんだろうなと。女性は誰しも、1カ月に1回は経験しますから。自分にない要素ではないので、自分の生理前や生理中の辛さを見つめながら、『あぁ、これか』と感じていました」

【インタビュー】松村北斗×上白石萌音が体現した、救いあう関係 横並びのどこまでも魅力的な“おしゃべり

上白石さんは、女性が誰しも抱える苦しみということで、より自分ごととして役を捉えているという印象があります。

2人とも精神が不安定になる役柄のため、難易度が高い演技だったと振り返っていますが、お互いへの信頼や現場の雰囲気の穏やかさに救われて、安心して演技ができたそうです。

だいち

現場の雰囲気まで伝わるような優しい作品でした!

映画「夜明けのすべて」の原作は瀬尾まいこさんの小説

原作である小説の「夜明けのすべて」は、「そしてバトンは渡された」で本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんによる作品です。

2020年10月22日に、水鈴社から刊行されました。

水鈴社書籍情報

実際にパニック障害と診断された、瀬尾まいこさんの想いが詰まった渾身の作品です。

山添がパニック障害と診断されたきっかけの展開は、瀬尾さん本人のエピソードが投影されています。

原作と映画の違いは?

原作と映画の異なる点は大きく以下の通りです。

原作では、藤沢と山添の内面を切実に語っていましたが、映画版では周囲の人物のエピソードに厚みが増しているという印象でした。

  • 山添が自転車を手にするきっかけが異なる
  • 藤沢と山添が勤務する会社が、小説では「栗田金属」で映画では「栗田科学」になっている
  • 山添の元上司の辻本の姉が過労により亡くなったという設定が加えられている
  • 藤沢の母がパーキンソン病になっている
  • 栗田科学のドキュメンタリーを撮影する中学生がいる
だいち

映画鑑賞後に原作を読んで「栗田科学」でないことに驚きました。

原作では、病状による困難を自分の手で乗り越えるという感覚でしたが、主人公以外の人物にエピソードを追加したことで、「助け合う」という感覚が増していると感じました。

小説というメディアは主観的な語りを得意として、映画は客観的な語りを得意とするため、今回の脚色は小説と映画それぞれの特色を理解していて素晴らしいと思います。

終盤のプラネタリウムでの展開は映像として視覚的に訴えられる映画の強みを存分に発揮しており、感動させられるシーンに仕上がっていました。

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まとめ:映画「夜明けのすべて」は現代を生きる社会人たちに贈りたい物語

映画「夜明けのすべて」はPMSとパニック障害という重たい題材を扱いながらも、心が軽くなるようなストーリー展開になっていました。

「ブラック企業」「働き方改革」という言葉が浸透した日本では、従来の「仕事第一」という価値観も変わりつつあります。

それでも、社会に馴染めず苦しい思いをしている人は多くいます。

そんなときに、「夜明けのすべて」を観るととても勇気づけられるのではないでしょうか。

懸命に働いている方も、今は少しお休みをしている方も、社会人経験のある方にはとても深く感動を与える作品になっていると思います。

だいち

とても素晴らしい作品なので、多くの方に鑑賞いただきたいです!

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この記事を書いた人

濱口竜介監督と対談することが夢です。映画を見始めて間もない頃に「寝ても覚めても」を映画館で観て人生が変わりました。それは、今まで鑑賞したどの映画とも似つかわしくない衝撃的な映画体験でした。以後、濱口監督の作品とご自身による作品の分析に毎度感心させられ、映画の得体の知れない深さに驚きます。濱口監督には遥か及びませんが、自分も映画の魅力を伝えられる存在になりたいです!

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