筆者個人的に本作「クワイエット・プレイス」は、完璧に仕立てられた傑作だと思います。
無駄のない展開に、ひねりの効いたアクション、人間らしい一家が魅せる細やかな愛情。
最新作「クワイエット・プレイス DAY1」にも通ずる人間讃歌の物語、その第1作目をご紹介します!
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この記事には映画の結末や重要なネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の方はご注意ください。
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公開日 | 2018/9/28 |
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監督 | ジョン・クラシンスキー |
原案 | ブライアン・ウッズ スコット・ベック |
脚本 | ブライアン・ウッズ スコット・ベック ジョン・クラシンスキー |
キャスト | ジョン・クラシンスキー エミリー・ブラント ミリセント・シモンズ ノア・ジュプ ほか |
音楽 | マルコ・ベルトラミ |
上映時間 | 1時間30分 |
配給 | パラマウント映画 東和ピクチャーズ |
公式サイト | クワイエットプレイス公式サイト |
【クワイエットプレイス】あらすじ(ラスト・結末まで)
まずは「クワイエットプレイス」1作目のあらすじをラスト・結末までご紹介します。
映画をまだ未鑑賞の方はご注意ください。
起:ボーの死
視覚がない代わりに聴覚が異様にするどく、“音をたてたものを捕食する”性質をもつ怪物に支配された世界。
世界中が静まり返って48日が経ったころ、アボット家の姿は荒れた売店にありました。
リー・アボット(ジョン・クラシンスキー)とエヴリン(エミリー・ブラント)夫妻には長女・リーガン(ミリセント・シモンズ)と長男・マーカス(ノア・ジュプ)、そして次男・ボー(ケイド・ウッドワード)という3人の子どもがいます。
リーは生まれつき耳に障害があり、人工内耳をつけています。アボット家が全員手話を使えるのがポイント。
家族の薬などを調達し、帰路につこうという時、ボーが飛行機のオモチャを気に入りました。
音の出る危険性があるオモチャをボーから取り上げる両親でしたが、長女のリーガンが弟かわいさに飛行機を手渡してしまいます。
嫌な予感
帰り道、無邪気にオモチャのスイッチを入れたボーは、虚しい電子音に誘われた怪物によって、あっという間に捕食されてしまいました。
承:DAY472
ボーの死を受け止める間もなく、常に迫り来る外敵から“息を潜め”わが身を守るしかないアボット家。
コミュニケーション不足も相まって、一家の心は分裂しつつありました。
静寂の世界が472日目に突入するころ、エヴリンのお腹は臨月をむかえ膨らんでいます。
出産を控え不安なエヴリンは、それでも子どもたちを教育し、誰に頼るでもなく「1日を全うせん」としていました。
エヴリンが気丈に振る舞うのは、リーガンがボーの死に責任を感じ、押しつぶされそうになっていることを知っていたからです。
リーガンは、ボーの一件から父・リーに疎まれていると感じていました。
そんなわけないのだよ
生活を続けながらも、一家はそれぞれボーを失った悲しみのドン底で苦しんでいます。
泣き叫ぶわけにもいかず、発散の場がない感情を押し殺す一家は、見ているだけで息苦しくなってくる
転:出産
家族がそれぞれ出払った家で、予定日より遥かに早く破水してしまうエヴリン。
押し寄せる激痛に無言で耐えながらも、まさかの事態に手をすべらせ、大きな音を出してしまいます。
超激痛をこらえるエヴリンの元へと早速やってくる一体の怪物
怪物が壊した外壁を見たリーは、妻の危機を察し「花火を打ち上げてお母さんを助けろ」とマーカスを鼓舞します。
勇気を振り絞ったマーカスにより花火が打ち上げられ、その轟音に紛れ、エヴリンはたったひとりで出産を成功させました。
家族が各々とても強い!
“泣くのが仕事”な赤ん坊は、小さな酸素マスクがつけられ、事前に準備してあった防音の木箱に収まります。
木製のふたを閉めるだけで全く声が聞こえないよ!細かいことは気にせず観進めよう
出産で体力を消耗したエヴリンは、またしてもボーを失った事実に苛まれますが、新たな命と、いまだ外出から戻らない子どもたちの状況を思い奮起するのでした。
結:リーの死
一方、リーガンとマーカスもまた、怪物と対峙していました。
リーガンの人工内耳は父・リーの自作で、時折つんざくようなハウリング音が鳴り、リーガンを苦しめます。
リーガンが不快音に顔をゆがめる時、怪物もまた、破裂させんばかりに頭を揺らし苦しんでいるようでした。
怪物の弱点?!後々効いてくるよ
何度も命の危機を突破した姉弟でしたが、いよいよ万事休すという時、駆けつけたリーが大声を張り上げ、怪物の気を逸らしました。
リーは、見る間に捕食されてしまいます。
エヴリンも家の中の監視カメラで一部始終を見ていたの
父の命を無駄にするわけにいかない姉弟は、見様見真似で車を運転し帰宅。
エヴリンと、生まれたばかりの赤ん坊と合流したリーガンとマーカスでしたが、怪物は家の中まで迫ってきます。
マーカスが赤ん坊を抱え、リーガンが人工内耳をマイクに押し当て、エヴリンが猟銃を構え、怪物を迎え撃つカットで、次回作を思わせる余韻の中エンドロールが始まるのでした。
【クワイエットプレイス】ネタバレ解説①:気まずいシーンは?避妊しないの?
次に、「クワイエットプレイス」のネタバレに関係するシーンについて解説していきます。
ラスト・結末の解説のほか、意外だったのがエヴリンの妊娠に関する意見・反応が多かったので触れてみました。
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「クワイエットプレイス」ラスト・結末の解説
リーが自作した、リーガンの人工内耳がハウリングを起こす度に、怪物は悶え苦しんでいました。
息を殺し逃げ惑うほかなかった人間たち、唯一の救いが人工内耳が放つ不快音だとしたら。
続く第2作で特別なキーワードとなる“怪物の弱点”に、人間が気付き始める重要な描写でもあったラストシーンでした。
ボーの一件から、各々ふさぎこんでいたアボット家がギュッと集結をみせるのもマンガ的でよき!
リーを失ったアボット家ですが、リーが遺した“強さ”を胸に、そして腕に抱え「まだまだ戦って生き続けてやるぜ」という生命力を感じる、アクティブなカメラワークからのエンドロールが興奮を誘います。
敵が迫るなか、時間はないんだけど、リーの不在を感じて涙を流すエヴリンとリーガンの短い意思疎通が描かれていたのも、真摯でよかったです
「クワイエットプレイス」気まずいシーンはある?
両親とリビングで観たら気まずい、的なシーンはありませんが、劇場再上映の機会があれば飲食物の持ちこみはしない方がいいでしょう。
基本的に“音をたててはいけない”状況をアボット家と共に楽しむライド型映画なので、袋などカサカサさせれば他の観客に恨まれてしまうかもしれません。
映画館で“気まずい”思いをしながらこっそり咀嚼するの、きついよね
ちなみに怪物の捕食は、咀嚼音とかのレベルじゃなく一瞬で丸呑み系なのでグロ皆無です。
エヴリンが避妊しなかった/できなかった理由は
エヴリンの出産はDAY473、つまり出産までにかかると言われる十月十日(とつきとうか)から逆算すると、妊娠は地球が“クワイエット・プレイス”になった後です。
暴動と略奪が起きたことで、避妊具さえ手に入らなかったでしょうし、次の瞬間に世界が滅亡してもおかしくない非常時に果たして避妊するかどうか、自分に置き換えても甚だ疑問に思います。
怪物の支配下で、自分たちがあとどれくらい生きられるのかも不明瞭。生物として、肉体の危機に子孫を残そうとするのは本能的に考えても至極あたりまえ
と言いますか、エンターテインメントとして「出産って絶叫必至じゃない?」というワクワクポイントとして設定されたアトラクションですから、正論武装は無粋でしょう。
怪物の正体・弱点は?
宇宙から飛来した、視覚をもたない聴覚発達特化型の怪物。
アコヤ貝の内側みたいな、ギャルのネイルみたいなグリーンピンクオーロラ発色の器官をもち、でっかい鼓膜らしきものをビロビロと震わせる様が、まあまあキモいです。
正体はなんぞや全くわかりません!
ただし弱点は、劇中でもじっくり描かれ、また前述した“リーガンの人工内耳によるハウリング音”のようでした。
頭部がかち割れんばかりに悶絶する怪物は、表情、というか顔がないのに超苦しそうなことはわかる不思議
次作以降でキーとなる、怪物と“水”との相性の悪さも垣間見えましたが、「自然音にまぎれると身を隠せるのかな」という程度の描写に留まっています。
【クワイエットプレイス】ネタバレ解説②:ひどいと言われた理由は?
「クワイエットプレイス」には一部より”ひどい”という評価があるようで…!?
どんな映画にもそんな感想があるに違いありませんが、どうして”ひどい”と言われてしまったのか理由を探ってみました。
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①あの状況下で子供を作ったこと
前述した通り、「なんで子どもなんて」という批判は無粋でしょう。
やはりエンタメとしてのスパイス、物語としてのフックととらえるのがハッピーな“エヴリンの妊娠&出産”ですが、あえてマジレスするのであれば。
冒頭、次男ボーの悲しすぎる逝去が描かれ、アボット家ならびに本作「クワイエット・プレイス」の軸としてじっくり“喪失”が炙り出されます。
心身ともにサバイブするアボット家が「家族みんなで悲しみを乗り越えよう」とがんばる中で、エヴリンに妊娠が発覚したら、“ボーが生まれ変わってくれた”とすがりたくなる気持ちは当然でしょう。
“クワイエットプレイス”での出産、育児とか不安すぎて気狂いそうだけど、弱音吐かないエヴリンのとんでもない精神力!頼りがいあります
②「音を立ててはいけない」のルールが曖昧?
こちらも前項同様「それを言っちゃあおしめぇよ」てなもんですが、そもそも筆者個人的にはルールに矛盾は感じませんでした。
騒音計とか設置してデータ記録つける映画おもしろいか?って話ですな
アボット家の生活に浸透した“防音対策”の数々は目を見張るもの、かつ目に楽しくもありサバイバル教則本としても使えそうです。
おそらくツッコミとしては「水音にまぎれると怪物に見つかりにくくなる」という、微妙なラインの騒音設定について引っかかるのでは。
水にまつわる画角バッチリな印象カットを見れば溜飲も下がるでしょう。
「なんかカッコいい」は時に正義
【クワイエットプレイス】印象に残ったキャスト3選(ネタバレあり)
続いて「クワイエットプレイス」で印象に残ったキャストです。
実の夫婦が作中でも”夫婦”を演じているなんて…!
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①リーガン/ミリセント・シモンズ
自身も聴覚に障害をもつミリセントが、圧倒的リアリティをともなって表現するリーガンが魅力的でした!
アボット家同様に撮影現場も、手話に親しんだミリセントによって牽引されていたのかな、と感じる“どんとこい”な安定感が心地よかったです。
弟の死に責任を感じつつも、長女として気を張り続ける葛藤が、声を封じられた芝居の中で発揮されていたのが見事でした。
大きく分けるとジェニファー・ローレンスライクな顔もとっても良い!
②マーカス/ノア・ジュプ
ミリセント同様“声を奪われた”中での芝居、ノア・ジュプの達観した顔芸(敬意を込めて)もほんと最高でした!
自由自在な表情筋を、万国共通な喜怒哀楽にゆがめる圧倒的プロフェッショナル。
だから子役ってほんとすき
まだまだ子どもなのに、次男を失った家族の悲しみは、マーカスを大人の階段へとせっつきます。
甘えとサバイバルの狭間で、眉尻を下げながらバキバキと成長するマーカスが愛おしかったです。
③リー&エヴリン夫妻/ジョン・クラシンスキー&エミリー・ブラント夫妻
本物の夫婦であるジョン&エミリーが、本物の信頼を香らせながら演じるリー&エヴリンは、色気と幸せたっぷりでありがたいです!
監督しながら主演をこなすジョンにとって、役のうえでも“妻が妻”というのは超絶助かったはず
「みなまで言わずとも」という夫妻の雰囲気が、現場以前に生活単位で構築されていることが、しっかり作品に映っているのです。
映画って不思議ですが、空気とか雰囲気とか香りとか映るんですよね
もちろん「リアルであるべき」とは全く思いませんが、リアルであることが功を奏した映像表現が印象に残りました。
【クワイエットプレイス】印象に残ったシーン・場面3選(ネタバレあり)
次は「クワイエットプレイス」で特に印象に残ったシーンを3つご紹介します。
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①無駄のない冒頭10分
台詞をほとんど抜きにして、世界の荒廃のみならずアボット家が生き残ってきた過程までもを感じさせる完璧なオープニングは、映画史に残る逸品と感じます。
微笑ましい家族のひとコマが、たった一瞬で崩れ去る衝撃の10分間。
あまりの無慈悲カットに、この冒頭10分の描写で“いやな映画”という印象をもった観客もいたようです
アボット家各々の選択が、本作全体を包む“喪失感”へと繋がってしまう、物語の起点としてパーフェクトな10分間でした。
②印象に残るカット作り
台詞に頼れないぶん、バッチリ決めて撮った印象カットはどれも雄弁に状況を語る有能なものでした。
視覚をもたない怪物の特性を利用し、観客の視線をキャッチするカラフルな衣装はどれも可愛くて、かつキャストにしっくりくるものばかり。
単純な視覚情報以外にも、小型の野生動物が音をたてれば“ちゃんと”捕食されるカットが挟まれたりと、観客のモヤモヤを解消に導く親切設計も好印象でした。
前述したように、個人的には本作の設定に矛盾は感じなかったよ
③描かれない日々の描き方
床下に収納されたオーブンで釣った魚を焼き、しっとり系の葉っぱを皿にして取り分けると、円陣を組んで心中に祈りを反芻するアボット家。
一見すると痛そうですが、裸足で生活する姿に、前述の食事シーン同様“アボット家のサバイバル術”を見て感心しました。
DAY48、DAY472…描かれない“スキップされた日々”におこなわれた一家の試行錯誤が、台詞での説明抜きに映像表現だけでしっかり映し出されているのもすごい!
人間の存在のみならず、音をたてずに生活できなかったであろう陸上生物がほとんどいない“無の描写”も、淘汰された動物たちを思うきっかけになりました。
水中生物は生き残ってる現実にも“水に弱い”怪物の性質を感じるよね
【クワイエットプレイス】を実際に鑑賞した感想と評価(ネタバレあり)
ストーリー展開
冒頭シーンでグッと観客を惹きつけて、繊細な音効で“音のない世界”を作り上げ、今度は観客たちを無音世界に引きずり出す、見事なライド型エンターテインメントでした!
謎のまま明かされることのない怪物の正体が「知りたい」と、観客が自発的に感じられるようにバランスされていたように思います。
サバイバルに慣れたアボット家の面々に「置いてかないで!」とすがりたい気持ちになるほど、私は画面世界の中に入り込めました
続編ありきのスタンスにスッキリしない感は否めませんが、次作への期待を盛り上げるド派手なやり方にはさすがのハリウッドみを感じて気持ちがいいです。
起!承!転!結!な構造と、余計な事件が起こらず、ややこしい人物も出てこないシンプル展開が非常に良かったです。
結末への評価
せっかくここまで生き延びてきた家族4人、新たな命を守りつつボーの分まで生存し続けてほしかったですが、父・リーの死は悲しかったです。
父の覚悟を一瞬で汲み取ったマーカスが、秒で大人の階段駆けあがる発車シーンには泣きました
それでも、ラストカットでエヴリンが銃をスチャッと装填したとき、「あぁ、アボット家はやっぱり大丈夫」と私もリーの不在を乗り越えることができたのです。
あくまで次作に向け“一旦ブレイク”といった雰囲気をもつ仮エンディングにも、個人的にはしっかり納得できました。
リー役を終え監督業に集中できるジョンにさらなる期待
映画としての新しさ
2016年にフェデ・アルバレス監督「ドント・ブリーズ」という大傑作が公開されて以降、“息もできない”系シチュエーションスリラーが乱立。
豪華キャスト・製作陣で発表された本作「クワイエット・プレイス」には、それら模倣犯的タイトルとは一線を画したプライドを感じていました。
新しいとは思わなかったかな…「またか…さすがにドンブリを越えようとしてくれよな」と期待してたかも
結果、ドンブリとはちがった“異形のもの”の存在で一気にファンタジー感が強まり、全く別物として“音が出せない”物語を楽しむことができました。
あとやっぱ特殊な状況下での出産シーンが新しくて、アイデア勝ちしてた感ある
とはいえ、やはり当時も「新しい」とは全く感じていませんでした。
再鑑賞
ポテチやせんべいをボリボリ鳴らしながら、アボット家にマウントとれるのは家鑑賞ならではの特権。友人とあーだこーだ言いながら何度もループできそうな、圧巻のエンタメ性をもつ作品です!
【クワイエットプレイス】ネタバレ!気まずい?ひどいの真相:まとめ
独立した一本の映画でありながら、次作への前フリとしても機能している、橋渡しの役割も担った「クワイエット・プレイス」。
最新作の「クワイエット・プレイス DAY1」にまでしっかりとバトンをつないだ、2作目の「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」と併せて、U-NEXTで配信中です!
4、5…とまだまだ続きそうな雰囲気あるから、まだ3作しかない今のうちに一気見しておくことをオススメします!
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