「アンメット-ある脳外科医の日記-」や「市子」で、演技が高く評価されている杉咲花さんが主演を務めた「朽ちないサクラ」が6月21日に公開されました。
原作は、「孤狼の血」シリーズなどを主に手掛ける柚木裕子さんが書いた、同名の人気小説です。
キャストの紹介やあらすじなどをまとめているので、作品の予習や復習にぜひ参考にしてください!
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この記事には映画の結末や重要なネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の方はご注意ください。
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公開日 | 2024年6月21日 |
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監督 | 原廣利 |
原作 | 柚月裕子「朽ちないサクラ」 |
脚本 | 我人祥太 山田能龍 |
キャスト | 森口泉:杉咲花 磯川俊一:萩原利久 津村千佳:森田想 梶山浩介:豊原功補 富樫隆幸:安田顕 |
音楽 | 森優太 |
上映時間 | 119分 |
配給 | カルチュア・パブリッシャーズ |
公式サイト | 「朽ちないサクラ」公式サイト |
上映劇場 | 「朽ちないサクラ」上映劇場 |
【朽ちないサクラ】ネタバレ!映画のあらすじと結末・ラストの展開は…
「朽ちないサクラ」のあらすじを起承転結に分けてまとめました。
ミステリーで登場人物が多く少し複雑な展開もあるため、鑑賞後に振り返ったり、鑑賞前の参考にしてもらいたいです。
起:やり切れない親友の死
愛知県警は、慰安旅行のためにストーカーの被害届を1週間受理せず、殺人事件まで至ってしまった不祥事で騒然としていました。
さらに、殺人事件の加害者は、現役宮司であった安西だったことも、より世間の注目を集めていました。
事務職をしている森口泉(杉咲花)は、親友の新聞記者をしている津村千佳(森田想)に、慰安旅行について口を滑らしてしまい、自分のせいで情報が漏れてしまったのではないかと後ろめいたい気持ちを抱えています。
千佳から連絡があり2人で食事をしますが、「自分は記事にしていない」という千佳の弁明を、泉は素直に聞き入ることができません。
「絶対に誤解を晴らす」と取材に出かける千佳に対して、何も言えずに複雑な想いを抱えていました。
その後、千佳が不審死したという情報が、泉のもとに届きます。
他殺の疑いがあるとして捜査が進みますが、事務職だった泉は親友の死を前にして、何も出来ずにいるのでした。
承:極秘捜査を進める泉
千佳と親しい仲だったことで、泉は上司の富樫(安田顕)と一緒に、捜査一課長の梶山(豊原功補)から事情聴取を受けます。
泉は、自分が疑われている状況に苛立ちを感じつつも、やむを得ず、千佳とのやり取りをすべて話しました。
そして、親友の死にやり切れない思いを抱えている泉は、梶山に情報の提供を要求し、独自で捜査を進めることを決意するのでした。
泉の同僚である磯川(萩原利久)は、自分が軽率に渡した慰安旅行のお土産が、情報漏洩のきっかけになったことを謝罪し、捜査の協力を申し出ました。
泉と磯川は、千佳が殺人事件が起きていた場所から離れた小先市に頻繁に向かっていたことに目をつけて、情報を収集します。
小先市は、磯川と同じ部署で臨時職員として働いていたものの、なぜか急遽退職した百瀬の出身地だと判明しました。
さらに、百瀬は慰安旅行の件で特に厳しくバッシングを受けている辺見と恋人関係であったため、小先市にある百瀬の実家まで向かいました。
しかし、百瀬は既に自殺しており、想定していなかった事態に泉と磯川は、愕然とするのでした。
転:浮上するカルト教団の陰謀
百瀬の死を知った梶山は、捜査にさらに注力していきます。
梶山は、ジャーナリストで新聞社の情報にも精通している兵藤を呼び出し、事情聴取を行い、慰安旅行の日程を知っていた百瀬が、千佳に情報を漏らしたことが明らかになりました。
複雑化する事態に困窮していた泉は、富樫にカルト教団・ソノフのアジトに連れてこられます。
富樫は、若き日の自分の判断ミスにより、ソノフによる毒ガス事件を引き起こしたことを今でも悔やんでいました。
そして、辛くても前に進むしかないという、富樫の言葉に背中を押された泉は、ひたむきに捜査を続けるのでした。
千佳が限りなく警察の汚職の真相に近づいていたと梶山から情報提供を受けた泉は、千佳が手がかりとして持っていた物を頼りに捜査を進めるうち、事件にソノフが絡んでいる可能性を突き止めます。
梶山は、極秘であるソノフの名簿を手渡すよう公安に交渉しますが、あえなく断られてしまいます。
しかし、かつて公安に所属していた富樫が再交渉して、名簿を手に入れるのでした。
すると、事件に関わっている可能性が高い浅羽という男が、教団から抜け出そうとした過去があることがわかります。
富樫は浅羽がアジトからの脱走を試みて、信者から暴行を受けていたところを助けたことがあり、複雑な思いを抱えるのでした。
結:ソノフへの奇襲とまさかの結末…?
浅羽を重要参考人としてマークした警察は、ソノフのアジトへ浅羽を捕らえに行きます。
事態を察した浅羽は、車で逃走を図りますが、無理な運転により事故死してしまいました。
事態の収束と時を同じくして、慰安旅行でバッシングを浴びていた辺見は県警を退職しました。
容疑者死亡により、事件は大方解決したと思われていましたが、泉はまだ釈然としていませんでした。
後日、泉は富樫を食事に誘い、自分の思いと疑いを伝えます。
浅羽は公安から送り込まれたスパイとしてソノフに潜伏しており、事件の真相に近づきつつあった千佳と一部の情報を知っていた百瀬を、殺害するように命令されたのではないかと推理を展開します。
そして、富樫が今も公安に所属しており、2人の死の真相を知る黒幕だったのではないかと疑い、泉は憤りを露わにしました。
しかし、富樫は、「面白い推理だが、行き過ぎた妄想だと」取り付く島もありません。
本当に、富樫は公安に属していたのか、事件は公安によって握りつぶされたのか、定かではありません。
しかし、警察の構造の捻じれに反逆すべく、何よりも正義を志す刑事を目指すと泉は固く誓うのでした。
【朽ちないサクラ】ネタバレ解説:犯人,原作小説と違いはある?
「朽ちないサクラ」の事件の真相や、細部の解説をまとめました。
原作が人気小説のため、映画版と原作の違いについても触れています。
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新聞記者の津村千佳を殺害した犯人は?
泉の親友である津村千佳を殺害した犯人は、ソノフの信者であった浅羽です。
物語の発端であるストーカー殺人事件の犯人が、ソノフの信者であることが世間に公になることを恐れた教団からの差し金で、真相に近づいていた千佳を殺害したという見立てでした。
ただ被疑者死亡のため、あくまで推論…。
また、浅羽は公安のスパイとしてソノフに潜入していたという可能性も仄めかされています。
事件を未然に防ぐ公安が、事件の鍵を握っているかもしれないと泉は推理しますが、上司の富樫に打ち砕かれて、真相は藪の中でした。
警察の不祥事は明らかになる?
映画の冒頭で、慰安旅行によって被害届の受理が遅れたことが示されており、報道で愛知県警の不祥事について公にされていました。
情報の出どころが探られることによって被害者が出てしまう悪循環…。
しかし、警察と公安の対立という根深い問題が終盤の鍵になってきます。
警察に対しても、自身が公安であることを悟られてはいけないため、暗躍が日の目を見ることは少ないですが、千佳と百瀬が亡くなったのは、公安の仕業の可能性が仄めかされます。
公安は、事件を未然に防ぐためには、手段を選ばないことが、劇中で語られます。
ソノフの信者がストーカー殺人事件の加害者であることが世間に知られてしまうと、混乱を招くだろうという判断でしょうが、手口があまりに陰惨過ぎました…。
「朽ちないサクラ」の原作小説は「孤狼の血」シリーズの柚月裕子さん
「朽ちないサクラ」の原作小説を手掛けたのは、映画化もされた「孤狼の血」シリーズで知られる柚月裕子さんです。
刑事を主要人物に沿えたハードボイルドな作風を得意としていて、善悪の境界を訴えかけてくる力強いストーリーが高く評価されています。
「孤狼の血」シリーズは、映画も小説も大好きです!
「朽ちないサクラ」では、柚月作品らしいアウトローな刑事も出てきますが、珍しく若い女性が主人公になっています。
泉を取り囲む、中年男性の豪胆さが容赦なく描かれることで、泉の繊細な心の揺れ動きと力強い意志が、鮮明に際立っている作品でした。
「朽ちないサクラ」映画と原作小説に違いはある?
「朽ちないサクラ」は、かなり原作小説を忠実に映画化した作品だという印象を感じました。
柚月裕子さんらしい硬派な文体とハードボイルドなストーリーが、映像として明確に具現化されていたと思います。
「孤狼の血」に最近のMVのテイストを混ぜたようなイメージでした!
物語の本筋にさほど関わらない不倫というモチーフや、多数登場する人物を少し整理したりと、エンタメ映画として観やすく仕上がっていました。
柚月裕子さん自身は、作品の映画化に対して寛容な方ですが、映画の製作側が原作に対してリスペクトを持って臨んだことが伝わる映画化だったと思います!
【朽ちないサクラ】印象に残ったキャスト3選(ネタバレあり)
「朽ちないサクラ」のキャストと役どころを整理して紹介しています。
再注目の若手女優とベテラン俳優の共演も、「朽ちないサクラ」の大きな見どころです。
①森口泉/杉咲花
「朽ちないサクラ」の主人公である森口泉を演じるのは、杉咲花さんです。
「湯を沸かすほどの熱い愛」で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得して以降、「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」、連続テレビ小説の「おちょやん」の主演を務めました。
近年では、「市子」、「アンメット -ある脳外科医の日記-」の演技が高く評価されている、名実ともに日本を代表する若手女優です。
映画もドラマも杉咲花主演クオリティーが確立されてきている!
「朽ちないサクラ」で演じた森口泉は、新聞記者の親友を不審死で失ってしまった愛知県警の事務職員という役どころです。
慰安旅行のことを漏らしてしまい、後ろめたい気持ちを抱えた女性から、刑事を志すに至る心情の変化を力強く演じていました。
②富樫隆幸/安田顕
安田顕さんは、大泉洋さんらと結成した舞台ユニット「TEAM-NACS」の公演や、「水曜どうでしょう」の出演で人気を集めました。
「劇場版 SPEC」シリーズや、「銀魂」のような娯楽作から、「愛しのアイリーン」や「ラーゲリから愛をこめて」のような、演技力が試される難役まで、幅広くこなす実力派俳優です。
「愛しのアイリーン」の岩男は、最低だけど大好きでした!
「朽ちないサクラ」では、泉の上司の立場にあたる、富樫を演じています。
落ち着いた雰囲気でありながら、元公安であることに説得力を感じる、確かな威厳を絶妙に表現していました。
③梶山浩介/豊原功補
豊原功補さんは、16歳で芸能デビューして以降、俳優や舞台演出家など、あらゆるジャンルで活躍しています。
「さかなのこ」、「福田村事件」、「キリエのうた」など、近年でも話題作に続けて出演しています。
強面なルックスと程よく柔らかいギャップを上手く演じ分けていますね!
「朽ちないサクラ」では、愛知県警の捜査一課長である梶山を演じました。
昔気質で強面な熱血刑事が、豊原功補さんに絶好のハマり役でした!
【朽ちないサクラ】印象に残ったシーン・場面3選(ネタバレあり)
「朽ちないサクラ」の中でも特に印象に残ったシーンを、3つピックアップしました。
魅力的なキャラクターが多いので、少しでも作品の良さが伝わって欲しいと思います!
①強面刑事の梶山
いま最も勢いがある若手女優の杉咲花さんが主演を務めた「朽ちないサクラ」ですが、脇を固めるのは、安田顕さんや豊原功補さんなど、渋いベテラン俳優です。
特に豊原功補さんが演じる、刑事の梶山という役が個人的には好みでした。
昔気質で強面な梶山は、親友を亡くしたばかりの泉を疑って事情聴取を行います。
極悪非道なアウトロー刑事なのかと思いきや、意外とすんなり泉の要求を飲んだりと、どこか人情味も感じる人物像でした。
昔気質な人情味ある刑事は、柚木裕子さんの得意分野!
豊原功補さんは、威厳ある声付きとドスが利いた低音ボイスで、梶山を絶妙に体現していたと思います。
魅力的なキャラクターが多い「朽ちないサクラ」の中でも個人的にお気に入りのキャラクターでした!
②切ない親友との別れ
出番自体は少ないものの、泉の親友である新聞記者の千佳を演じた森田想さんも素晴らしい演技だったと思います。
冒頭で泉と千佳が部屋で遊んでいるシーンや、レストランで話すシーンが長年の付き合いである親友だという説得力が感じられました。
慰安旅行について、すかさず聞き出す千佳は生粋の新聞記者でした。
特に、2人が最後の会話を交わすことになってしまったレストランでのシーンが、とても印象に残っています。
慰安旅行の情報漏洩によって、泉と千佳の関係が少しぎくしゃくしてしまうのですが、親友を信じたくても信じられない複雑な胸中が描かれていました。
森田想さんを「辰巳」で観たばかりだったので、余計切なく感じました…。
③泉VS富樫の真っ向からの対峙
「朽ちないサクラ」一番の盛り上がりは、クライマックスで泉が富樫に推理を展開するシーンなのは間違いないでしょう。
泉は、富樫が今でも公安を続けているのではないかと疑念を抱き、裏で手を引いていたのではないかと問い詰めます。
しかし、富樫は意にも介さず、ただただ泉の推理を聞くのみなのです。
泉の静かな熱意と怒り、富樫の得たいの知れなさが真っ向からぶつかります!
「朽ちないサクラ」では、事件の真相を探り出す警察と、事件を未然に防ぐ公安の対立が描かれました。
事件を防ぐためなら、多少の犠牲をいとわない公安のやり方に泉は怒りを露わにし、自分の正義感を貫くために刑事を目指して映画は終わります。
泉が全身全霊で立ち向かうものの、富樫は動揺している様子は見せずに、淡々としていました。
「朽ちないサクラ」に続編があるかはまだ発表されていませんが、続編があるとしたら泉の成長を観てみたいです!
【朽ちないサクラ】を実際に鑑賞した感想と評価(ネタバレあり)
ストーリー展開
ミステリー映画のため、時系列や登場人物など複雑な要素が多いですが、俳優陣の演技もあって、各キャラクターがしっかり際立っており、混乱することはほとんどありませんでした。
ある程度はセリフで説明してくれたり、回想シーンも時折挿入されるため、比較的親切な作りになっていると思いました。
不安な人は相関図を事前に見ておくといいかも!
結末の評価
警察のシステムに疑念を感じた泉が、正真正銘の刑事になるという結末は力強いものがありました。
杉咲花さんが、演技でグイグイ引っ張っています!
終盤で展開される、泉の推理がどこからどこまで正しいかは、はっきり明示はされません。
そのため、明確な結末を期待するタイプの方は、少しモヤモヤするところがあるかもしれませんが、靄が残るような組織の形を描くところは、柚月裕子さんの小説らしくて、個人的には好みでした。
警察と公安の関係は、「孤狼の血」でも描かれていました!
原作リスペクト
基本的には、原作を忠実に再現したリスペクトを感じる映画化だったと思います。
登場人物が多くて複雑になるところを1人にまとめたり、2時間の映画として観やすくなるように整理されていた印象です。
登場人物が多い柚月作品は、映像だとある程度の整理は必要です…。
映画ならではの桜をモチーフにした映像表現や、杉咲花さんをはじめとした俳優陣の演技によって、原作のよさを具現化した理想的な映画化のバランスだったのではないかと思います。
再鑑賞
伏線を張り巡らせたミステリー映画のため、2回目の鑑賞で新たな発見が出てくるかもしれません。
個人的には、杉咲花さんの力強い演技、安田顕さん、豊原功補さんの渋い演技をまた、映画館で堪能したいなと思います。
ただ、結末はやり切れないどんよりした気持ちになるので、明快なハッピーエンドが好きな方は、1回で十分でしょう(笑)。
しっかりとした、面白く深みのあるミステリー映画に仕上がっていました!
【朽ちないサクラ】ネタバレあらすじのまとめ
「朽ちないサクラ」のあらすじ、キャストの紹介、見どころなどをまとめました。
ノリに乗っている杉咲花さんが主演の作品なので、リアルタイムで劇場公開されている時に鑑賞するとより作品を楽しめると思います。
ぜひ、お近くの劇場で鑑賞してみてください!